はじめに

大谷翔平がドジャースに移籍後最初のシーズンがそろそろ終盤を迎えている。
移籍初年度でワールドシリーズにて、ヤンキースと戦っている真っ只中だ。
しかもこのまま勝ち切りそうな勢い。
これまでもそうであり、今後も恐らくそうである様に、大谷翔平は野球界の宝であり、野球少年であり、野球オタクなんだと思う。

私が野球を好きになった経緯なんてどうでも良いんだけど、少なくとも多くの日本人と同様WBC2023で自分の人生イチ興奮と感動を味合わせてもらった。

私の母の実家は岩手県奥州市姉体町にある。
言わずと知れた大谷の故郷である。
だから昔から大谷翔平が凄い選手なのは知っていたし、だから何年も前から私の個人的なSNSの投稿には大谷翔平が関係する投稿が時々見受けられるが、まさか自分がこんな風に野球の事を考える事になるとは当時は少しも思っていなかっただろうと思うと、不思議な気持ちだ。
WBC2023の直前に亡くなった野球好きの祖父にとっても大谷翔平は希望だったに違いない。

そんな私は今大谷翔平の事もドジャースの事も応援できずにいる。
自分がそれなりに”こじらせて”いるのは分かっているし、1年近くかけてどうにかならないかと考えを改めるトレーニングもいくつか行ってみたけどどうやら無駄なようで、これには時間が必要そうだ。
私がX(Twitter)で時々ボソボソ言ってる文句なんて文字数少ないから表向き文句なだけで、山ほど考えての結果なのだ。

だけど最近、なんで応援出来ないのかが段々言語化出来るようになってきたので今回書いてみようと思った。
全ての前提を欠ける事なく考慮出来ない場合に理解してもらえないと思っているし、私は知らない事が多い。でも現時点で思っている事の全てなので、読んでムカついても放っておいて欲しい笑
だけど大谷が好きだからっていうぐらいで何でもすぐくってかかる人には読んで欲しくない。
だってここ自分でお金払って借りてるサーバーだからさ。

まさか共感してもらおうとは思わないので、こういう事考えちゃう人もいるんだなとか思ってくれたらそれで良いです。
うっかり共感する人がいたら「え?珍しいね…」って思いながらちょっと喜びます。

何故素直に応援できなくなったか

これに尽きる。
WBC2023で感動した私は後に両親とその話しをした時に『今までの人生で1番テンション上がった』という発言をしているが、それを聞いた70歳を超える父が『俺も!』と言った。
70歳超えてる人が人生で1番テンションが上がったと言うぐらいなんだから、いくら父が大谷翔平信者だとしても笑、いかにあの数日が夢のようだったかが良く分かる。

人は欲深いので、そう思うとそれを超えるものを感じてみたいと思ってしまう。
そこに結果論とはいえおあつらえ向きだったのは、所属していたエンゼルスというチームだったのだ。

エンゼルスがどのようなチームなのか、優勝するに足る事を組織として行う事が出来ているチームなのかは私よりも皆さんの方が良くご存知だと思うが、だからこそそのチームでワールドチャンピオンになるというのは、世界の誰もを感動させられる唯一の選択だったはずなのだ。

みんなルーキーズとか下克上球児とか弱くても勝てますとか好きじゃん!
スラムダンクだって花道や流川が最初から山王工業にいたらあの漫画は成り立たなかったはず。
県立湘北高校だから、あの漫画は素晴らしいのだ。

みんな大谷翔平をマンガの主人公だと良く言うけど、本当に漫画の主人公ならエンゼルスでワールドチャンピオンになる事だったはずで、少なくとも途中で山王工業に転校してチャンピオンになるストーリーではないはずだ。

それなら、他のチームのファンもワールドチャンピオンになった大谷翔平を尊敬し、崇め、これ以上ない感動を世界中の野球ファンに与えられたと思う。

良く大谷ファンが(私の両親を含む)「でも大谷は勝ちたいんだよ!」とか「エンゼルスでは勝てないんだから移籍は正解だよ」と言うけど、勝ちたいのは野球やってる人全員勝ちたいだろうし、なんでそんなにみんな大谷を信じてないんだよって思ってしまうんだ。
大谷翔平がエンゼルスに残っていても、どうしようも出来ないって思っていた?これまでの6年間で思い知った? そこから挽回する、そういう人だから漫画の主人公なんじゃないか。

大谷翔平がエンゼルスに残ると思っていた根拠

・自責傾向の考え方
・愛読書から見るポリシー
・価値観から見える責任感

この3つから、エンゼルスに残留すると思っていた。
誰かが情に厚いから残るんじゃないかとか言っているのを見かけたが、情で所属チームを選ぶような人が高校卒業の時点でメジャー行きを選択するなんて思わない。
最初から世界のトップで野球をする事だけを考えていた人だ。

自責傾向の考え方

そもそもエンゼルスを出て行って当然だと考えている人たちは、大谷翔平が他責で物事を考える人だと思っているのだろうか?エンゼルスにいたら優勝出来ない、自分は結果を出しているんだから、というのは例えそれが事実だったとしても他責の考え方であり、何かを達成する人間の考え方のプロセスではなさすぎる。これまでの大谷がそういう人間なのであればそれも仕方がないが、「俺がやる」となんでも自分でやろうとする人間が、そして結果を残してきている人間が他責の考え方をするとはとても思えないのだ。この辺は、一般論と乖離があるのは当然だと思っている。恐らく多くの人がそういう事ではないと言うのだろうが、結果を残している人であればあるほど結果ありきで重要なのがいかに過程なのかを知っている。結果を残しまくったスティーブ・ジョブズが亡くなる直前に自分の得た権力や資産などに何の意味もなかったという趣旨の話しを残している事からも、結果は表向きの煌びやかな評価でしかなく、自分自身の満足には直結しない事が分かる。大谷がそう思えている可能性がどうかは分からなくとも、少なくとも自分以外のせいにしてエンゼルスでは優勝出来ないなどと考えるような人にはとても見えないのだ。

愛読書から見るポリシー

これはsauceがTV番組なので事実が分からないのだけど、大谷翔平の愛読書の1つに「中村天風」があると聞く。中村天風というのは思想家で実業家であり哲学者のような側面をもつ実在した人物なのだが、正直私にとって中村天風はほぼファンタジーだ。当時治す事が出来ないと言われていた結核を患ったまま渡米しなぜかいつの間にか治している。戦争に駆り出されて死にかけながら生きて戻っている。映画の中の人のような人生を送った実在した人なのだ。その中村天風の考え方の軸は「不可能な事を可能にする」「その気になれば人間できないことはない」というもの。まさに結核を治し、死地から生還した男の信念である。もし大谷が中村天風の影響を本当に受けているのであれば、まさしく不可能を可能にするという信念を持っていてもおかしくない。実際大谷は不可能だと言われた二刀流をメジャーで続けているし、どんなにチームが負けていても諦めているように見えた事がない。そんな人が、不可能に近いと言われているからと言ってエンゼルスをそういう理由で外れるだろうか?

価値観から見える責任感

大谷が普段ゴミを見つけたら拾う人なのは野球に詳しい人やファンの間では非常に有名な話しだが、あるインタビューで大谷自身が「拾わないで通り過ぎた時に、拾わなくて良かったのか?と思ってしまう。」という発言をしている。それは誰が捨てたかも分からないゴミに対してすら責任感を持つ考え方を現した発言であり、大谷がいかに他責で物事を考えない人間なのかが良く分かる発言だ。そういうところからも、やはり”やり残した事がある”場所を残していけるとは思えないのだ。

移籍後の情報で分かったこと

・前提
・後払いという考え方
・代理人の発言と当時の情報
・本人の発言
・モレノの発言とそれを踏まえた日本のファンの発言
・その他
・大谷翔平という存在が既に本人のものではなくなってしまっている事について

前提

移籍が済んでいる今、大谷がこの事について語る事はもう無いはずで、当然ながら今は選んだドジャースで目指すべき場所、ワールドチャンピオンを目指しているのは当然というかそれ以外の選択が出来ない。何を思おうが、どんな事があろうがこの件が明るみになる事は恐らく未来永劫無いという事。例えば今後どこかのタイミングで(30年40年後ぐらい?)うっかり表に出る事があったとしても、少なくとも大谷が現役中には考えにくい。大谷がエンゼルスを好きで感謝しているのはうそじゃないだろうし、ドジャースで頑張ろうとしているのも当然うそではない。だけど人間はそんなに白黒、0-100では出来ていないので様々な複雑な心境があっての事と推察する。でも大谷の元々の人間性や決めた事はもう前に進めるしかないという事実と、アメリカという国やMLBという組織が人間性を重視するという点から大谷は言えない事だらけ、言いたくない事だらけなのだと思っている。
あと、言うとめんどくさい事についても排除してるだろうな笑
だから良く大谷の発言を「凄い」とか「考え方が出来てる」と評してる人を見かけるが、いくつかの発言以外の選択肢がない事が多いのだと考える。

後払いという考え方

エンゼルスの2023年シーズン中、トレードデッドラインに近づくにつれて大谷の表情がかなり不安定で笑顔が作り笑顔になり、不安を感じる表情になっていた。というのは私の主観なので正しくない可能性の方が高いのだけど、そんな事はどうでも良くて、その時に私は考えたのだ。
トレードされるのが嫌なのだとしたら、エンゼルスから出て行くのが嫌なのか、自分で自分の人生を決められない事が嫌なのか、どっちだろうと。もしかしたら他の可能性もあるし、でもトレードされないと分かり球団がポストシーズンに向けてジオリトやロペスを補強したその直後の表情の晴れやかさには胸をなでおろしたものだ。まあ、胸をなでおろしたのもつかの間だったわけだけど。

そしてその頃、私が勝手に考えていたのは「もし大谷翔平がエンゼルスに残ろうとしたら何をしようとするか」だった。こんなことを後出しでどれだけ言っても当時から考えていたっていう部分を疑われるだけなんだけど、それでも大谷がエンゼルスに残留した上でワールドチャンピオンになる事を目指すなら自分の年俸を棒に振って格安で契約するんじゃないかと考えた。他の選手では考えられないけど大谷ならあり得ると思っていた。
この時点でも私はメジャーリーグの事も野球の事も知らない事が多いので、知らない事の中にヒントや答えがある場合もあるとは思いつつ。

そして結果的に発表されたのが、1000億円の契約と後払いという支払い方法をドジャースで、というもの。
だからこそ、聞いた瞬間から「後払いって事が出来るのか」と知った上で、エンゼルスと格安契約すらしそうだと考えていた私はこれは本当にドジャースのために考えた支払い方法だろうか?と考えた。
何故なら、後述するが今ワールドシリーズを戦っているドジャースにとってワールドチャンピオンになるために果たして大谷の後払いが必要だったか?と思うからだ。
もちろんワールドチャンピオンが簡単じゃない事も、大谷がそのためにならなんでもしそうな人間である事も分かっていて、その上で思った事だ。

何度考えても、時が経ってワールドシリーズが始まっても、やはり後払い契約はエンゼルスのために考えた事なんじゃないかと思えてしまうのだ。

代理人の発言と当時の情報

これは移籍発表直後の代理人の発言とその頃の情報だが、代理人は大谷から「エンゼルスとは最後まで交渉して欲しい」と言われていたと明かしている。これは私が直接バレロ代理人の発言を聞いていないので意訳が含まれている可能性もあるが、「何度も念押しされた」という表現の情報もある。

それと同時に分かっているのが、これは大谷本人の発言だったはずだが、大谷がドジャースに行く事を決めたのは発表前日の夜だと言っている。
そこまでの経緯として分かっているのは、大谷が契約金額と共に後払いの提案を交渉の場についた全球団にしているという事と、(この時点ではまだ詳細は不明だが)何らかの理由でエンゼルスとは契約にいたる話しが進んでおらず、そのまま契約発表前日にドジャースは後払いを受け入れたということ。
そしてそのドジャースが受け入れたという事実の後、最後にバレロ代理人はもう1度エンゼルスと交渉をしている。(ないしは、交渉しようとしている)
その翌日に大谷はドジャース入りを発表したわけだ。

この経緯が必ず大谷がエンゼルスに残った根拠とはまだ言えないが、「どうしても勝ちたいからエンゼルスではそれは無理だと思った。だから絶対に勝てるドジャースに移籍したんだ!大谷は勝ちたいんだ!」勢には疑問を抱かざるを得ない。大谷がそういう思考の人間なら最初からエンゼルスと交渉しようともしないだろうし、最後まで何度も交渉して欲しいとも思わないだろう。交渉のチャンスをエンゼルスにも与えた、というにも大谷側が積極的過ぎる。

なので私はドジャース移籍の直後から数日の間の情報から既に大谷が本当はやはりエンゼルスに残留したいと思っていたのにそれが何らかの理由で叶わなかったと推察したわけだ。
当時本当に誰も信じてくれなかったけど。(今も9割ぐらいの人が聞く耳持ってくれないけど!)

本人の発言

2024年9月3日、エンゼルスとのフリーウェイシリーズ前のインタビューで大谷自身が「(エンゼルスから)オファーがなかったので、たらればの話しをしても仕方がない。今は今いるチームですべき事をする。」という趣旨の発言をしている。
これは大谷が初めてエンゼルスからオファーがなかった事を発言したもので、ここで改めてエンゼルスからオファーがあったのに大谷がそれを蹴ってドジャースを選んだわけではない事が分かる。

オファーをするのは球団だからエンゼルスからオファーがなかったという事は、大谷の後払いの提案をエンゼルスが断ったわけではないという発言をX(Twitter)でしている人がいたが、それはここまでの経緯を考慮してなさすぎる発言であり、バレロ代理人が「最後までエンゼルスには交渉の機会を提供した」と言っている以上、機会を提供する中で他の球団に後払いの提案をしている事や後払いの仕組みを伝えていないはずはなく(交渉とはそういうもので)、特にエンゼルスが急に出てきたぽっと出の球団ではなく今まで在籍していた球団である事を考えると何もしないでただ待ってたけどオファーがなかったは流石に交渉や商談、ビジネスの知見が無さすぎると思うわけ。
バレロ代理人がどの様な交渉をしたかは知る由が無いけど、優秀ならただ待ってるはしないでしょう。

しかも、大谷が「俺が選択肢の1つとして検討してあげるからオファーしろ」という趣旨の事を言うわけがなく、仮にそういう趣旨の事を言っていたとしても結果的にオファーしなかったのがエンゼルス側なのだとしたらやはり当初からの「エンゼルスには最後まで交渉を」というバレロ代理人の発言はエンゼルスのメンツを保つという趣旨とは添わない事になる。というか、そんな殿様な考え方を大谷もバレロ代理人もするようにはそもそも見えないんだけどな。

モレノの発言とそれを踏まえた日本のファンの発言

2024年10月14日(日本時間15日)にエンゼルスのオーナーであるアート・モレノが大谷にオファーしなかった事を正式に認めた。
これは現地の記者さんの複数のXポストでも確認したが、日本語でニュースにもなっており、ヤフーニュースとしても掲載されていた。

「モレノは、エンジェルスとMLBファンの全員が知っていたことを公に認めた。エンジェルスがオオタニと契約しなかったのは自身のせいだと語ったのだ。マイク・トラウトと2030年までシーズンあたり3710万ドル(約55億円)、アンソニー・レンドーンが26年まで年3850万ドル(約57億円)で契約しているため、オオタニとの契約は実現不可能だったと語った」

という趣旨の記事だ。
トラウトとレンドンの契約は大谷が後払いであれば関係なくなる事を考えると、モレノの言ってる事には矛盾点が生じるので、恐らく違う理由で契約しなかったと推察される。
それが何なのかは分からない、噂されているように本当に球団を売ろうとしているから契約できなかったのか、それともトラウトより高額の契約をしたくないと考えたのか、全く分からないままだ。

だけど、このヤフーニュースには、後払いはエンゼルスのために大谷が考えたもので、それをモレノが飲んだら大谷はエンゼルスに残留したであろうという趣旨のコメントを書いた人がおり、珍しくいいね数も伸びていた(知っている時点で5000強)。ちょっとやっと嬉しい。
だけどまあ、世間のみなさんがそれに同意したり共感したりしてくれたところで現状も未来も変わらないのだけど。

その他

上記以外にも、トラウトの発言で「オフシーズン中に翔平とはかなりたくさん連絡を取った」という趣旨の発言をしている事や、大谷本人が「FA前に1番考えたのはエンゼルスの事だ」という発言をしている事からも、やはり最後の最後まで大谷はエンゼルス残留の道を探っていたのだと思わざるを得ない。
ただ、私には大谷翔平が欲深く見える事もあり(野球に対してだけ)、自分の年齢を鑑みて出来るだけ早く優勝出来るチームにうつった可能性も少ない可能性ながらあるとも思っている。エンゼルスが無理ならドジャースとは思っていたのだろう。
ちなみに大谷は、他のインタビューで「同じ地区の別チームにいくという事」について発言をしているので、エンゼルスからドジャースに行く事がある程度一部の人と軋轢を生じさせる事は分かっていたはずだ。

大谷翔平という存在が既に本人のものではなくなってしまっている事について

わざわざ言う必要がある事ではないが、もはや大谷翔平はブランドであり象徴ですらあるので、それを裏付けるかのようにオフシーズンには凄い数の広告契約をしている。
もう自分がどうこうしたいという自分の考えだけでは動かせない部分も多いんじゃないかと考えられる。
例えば1000億の契約も、今後の他の選手の事や諸々を考えたら総額がこれを下回る事は出来なかったんじゃないかと思う。お金に興味がなさそう…というか、年俸なくとも広告契約などで人の人生の何回か分も稼いでいる大谷にとって1000億の契約を結ぶ必要はないので。
だけど大谷は1番に拘ったり、先駆者である事に拘るところがあるので、やはり総額は様々な意味で必要だったのだろう。素人の私にはそう見えてしまう。

どのチームにも平等に、そしてエンゼルスのお尻を叩くため、そしてエンゼルスで優勝するために、後払い契約を全ての交渉チームに提案し、のんでもらった上でエンゼルスに最後に交渉のチャンスを与えたけどそうはいかなかった。

もしこれが事実なのだとしたら、もちろん他の多くの皆さんと同様私はモレノを許せない。
今後2度と得られないかもしれない、そういう感動を2度と起こせなくしたのだから。

何度考えても、どうしても私は(勝手に個人的に)考えられた最高の感動を諦めきれていない。

ワールドシリーズ2024について

チャンピオンになれたとしたら嬉しいのか

これを書いている今、冒頭にも書いたようにワールドシリーズは凄い盛り上がりを見せている。
ヤンキースVSドジャースという伝統の一戦が最高の舞台で行われているからだ。
両チームはファンの数もファンの熱さも比較出来ないMLBの象徴チームだ。

大谷はドジャースに移籍して初年度にワールドシリーズに進み、今にもチャンピオンになろうとしている。
初年度でいきなりチャンピオンになるかもしれないのだ。
しかも、ヤンキースVSで。
これをまた世間が「主人公」と呼んでいる。

山王工業に転校してきて優勝して主人公?
マジかよみんな。

これはとある記事が出していた面白い表なんだけど、2024年8月14日時点とはいえ、「今年IL入りした622選手の欠場時間を算出し、負傷前の健康なWAR予測をZiPSで計算し、更にこれまでの実際の欠場時間を日割り計算したもの」だそうだ。

WARの基準や計算方法でツッコミがどれほど入るものかは分からない部分も多いが、それでも重要なのはIL入りしているメンバーが全員フルで出場していたらドジャースはあと14勝していたという計算になる事だ。
実際には誰もIL入りしないなんて現実的ではないけど、大事なのはそこではなく、圧倒的であるという事。
圧倒的にケガでマイナスを食らっているのがドジャースという事になる。
ヤンキースの倍だ。

だからドジャース凄い!
じゃなく、この状態でワールドシリーズに行けてしまうドジャースがチートじゃなくてなんなんだ、という話しだという事。
もちろん、出場している選手は大谷ももちろん、所属しているチームでワールドチャンピオンになろうとするのが当然なのでそれに向かって頑張るのは当たり前だし、実際観ていて(観てるんかい)本当に士気が高いし強い。
あまりにも山王工業過ぎる。

これを、大谷は移籍初年度に経験しているわけだ。

スポーツをやっていた人、人生と闘ってきた人であればある程分かると思うが、人は簡単に手に入れたものに価値を感じないように出来ている。
それは根性論ではなく心理学の話しで、実際に凄い価値のものだと頭では分かっていても心が満足しないのだ。
だから、簡単に手に入れたお金は簡単に使いきるし、簡単に付き合い始めた相手より時間とリソースをかけた相手との方が長続きしやすい。

大谷はこれまで何年もエンゼルスでポストシーズンに行けずに悔しい思いをしてきたんだから、簡単じゃないだろうって言いたいかもしれないが、移籍というのはマイルストーンだ。
長期的な目標を達成する時にマイルストーンを置くことで目標達成しやすくなる事が有名なように、移籍でマイルストーンを置いた大谷の心境は恐らくリセットがかかっていて1年目に近いだろう。
これは大谷がどう思ってるかはしらないが、そういうものだという意味。

こんな簡単に手に入れるワールドチャンピオンに大谷翔平は満足するのだろうか?
怪我が関係している可能性があるとはいえ、しかも打てていない。
もちろんいるだけで大谷の存在価値が高い事は分かっていて言ってる。
ここまでのレギュラーシーズン、ポストシーズンで大谷が活躍しなかったらワールドシリーズに出てないことも分かっている。
でも、自分がいなかったとしても勝っていた、しかもワールドシリーズは、は人間が自分の存在意義や存在価値を求める生き物だという事を念頭に置いて考えるとかなりスッカスカだろう。

だけど当然のようにワールドチャンピオンになれたら喜ばないわけにはいかないし、実際嬉しいは嬉しいはずだ。
帰って落ち着いて考えた時にあれ?ってなる可能性が高いだけで。
いや、頭が良いし思考力も高いし、既に気付いてる可能性すらあるかもしれない。

そうなると大谷はキャリアの中で、自分がワールドチャンピオンになって且つMVPになる事を目標とすると思うし、今後はピッチャーとしても活躍が期待される。

勝手に外野、しかもお前誰だっていう素人の私が決める事じゃないのは分かっていても、なんという残酷な仕打ちだと思う。

人がスポーツに求めるもの

これは私も最近知った事だが、人はスポーツにカタルシスを求めているらしい。

つまり、ストレスや不安などを抱えている人がスポーツに自己投影をし、自身の応援しているチームが勝つことによって発散をしているという意味と言える。

多くの人が何故大谷がドジャースに行く事も、ドジャースがぽんぽん勝つことにもエキサイトしているのが何故なのかをずっと不可解に思っていたが、これが大きそうだ。
大谷はみんなの夢であり、自分の身代わりなのだ。

大谷が好きで尊敬しているから大谷の選択は全て受け入れて許容するよ、って言う人もたくさんいると思うけど個人的には理屈が分かっていない受け入れは諦めに似ていると思っているので、会話する事は出来ないので事実確認は一生出来ないものの、こうして様々な事を考慮し、思考した上でいつか受け入れる事が出来ればいいなと自分は思っている。

公平とは何か

ちなみに私は昔からスポーツには美しさを求めているので、まず大前提が「公平である事」「不正がないこと」「スポーツマンシップにのっとっていること」を重視した上で、そのチームや個人が輝く事を目撃し、感動したいという目的がある。
もちろんそこに勝ちがついてきたらそれに越した事はないし、実際負けると落ち込むものだ。

でも、公平というのは平等とは異なるので、その前提が崩れると話しが変わってくる。

例えばオリンピックは国毎の代表が戦う事が前提のため、その国で凄いアスリートが誕生しようが全く誰も育たなかろうが公平だと言える。
運動会で小学校1年生が小学校1年生とかけっこしていたら、勝っても負けても公平だ。

メジャーリーグもぜいたく税というものがあるおかげで公平性を保っている。
※ぜいたく税とは、各球団の競争力を平衡にするために、毎年所定以上の給与基準を超えるチームに対して通常よりも高い税金を支払わせるという制度

お金のあるチームが強くなり過ぎると競争力に差が出るからなわけで、逆にその範囲内でお金を使わずに育てるところに力を注いで強くなっていくチームもあるというわけだ。
これは公平だ。

だけど、大谷の後払いはこの公平性の観点から逸脱している。
先に言っておくが、これはエンゼルスでやっていたとしても同じことが言える。
しかし、大谷は後払いをドジャースと契約している。
する必要がないドジャースとの後払い契約だったと言えるのは、先述のIL入りメンバーのWAR算出で証明出来ていると思う。

そうなるとますます大谷がこれをエンゼルスのために提案したとしか思えないわけだ。

ドジャースとこの契約をする事と、エンゼルスとこの契約をする事、他のチームのファンが荒れるのはどっちだと思うか。
当然大谷は分かっていたんじゃないかな。
やはり、エンゼルスと後払い契約をしていたらむしろ美談にする人も多かったんじゃないかとすら思う。馬鹿だと言う人がその数倍いたとも思うけど。

エンゼルスと後払い契約をして欲しかった身でこれを言うのはダブルスタンダードだと思うけど、どうしてもこれをドジャースと契約してしまい、今公平性を欠いたチームに所属したままワールドチャンピオンに向かっている大谷を応援しにくい。

違反じゃないと言っている人もたくさんいるが、違反かどうかじゃない。
モラルの話しだからだ。だからこそ、エンゼルスと後払い契約だったらそこまで批判されなかったと感じる。悲しいかな、そんな事したからって優勝出来るとは思ってもらえないから。
モラルの話しでも、その後同じことをしたら違反になるという変更が行われているという話しが出てこないのは、こんなことをする人間が現時点では大谷以外にいるわけないからだと思う。
実際、大谷みたいな数百億の契約金を後払いにする人が多数出てきたら、それこそメジャーリーグは楽しくなくなってしまう。

って、思ってたんだけど、多くの人がストレス発散として自己投影してスポーツを観てると聞いて、なるほどな、そりゃそうなるわな、そりゃこんだけ盛り上がるわな、って今ここ。
みんな人生前に進めようよ(小声)

まあ、何にせよ私は前提が公平じゃなくなってしまったのでワールドシリーズを応援しにくくなったわけだ。

更に、ア・リーグチャンピオン戦、ナ・リーグチャンピオン戦で、高額支払いのドジャース、ヤンキース、メッツが残ったのを見た時は結局金かよと一瞬今後メジャーリーグ観るのをやめようかと思うぐらいだった。
(でもエンゼルスのみんなを思い浮かべて、それとこれは別だなって思ったから結局観ると思うけど)

だけど、ここまでの内容を全て考慮して考えると大谷は一切悪くないので、ただ私が心の折り合いをつけられてないだけなのだ。
仮にもし最初からエンゼルスへの提案じゃなくとも後払いを考えていたというならちょっと違う気持ちになるけど、概ねエンゼルスのためだったと言えようからな。

結局大谷翔平を応援できるのか?

ここまで書いてきたこれだけの理由で私はしんじられないほどモヤモヤしてるわけですが、最初に書いたようにこの件は一生真実を知る事は出来ないので自分で咀嚼していかないとならない。
1シーズン経過してもまだ咀嚼しきれてないからここにアウトプットしてるわけで。

私はエンゼルスが好きだ。
一生懸命で、朗らかで、愛に満ちたメジャーリーグでは珍しいフレンドリーなチーム。
彼らが一喜一憂しながら楽しそうに野球をやって、そして勝つ事は私の楽しみだ。
だから今でもエンゼルス時代の大谷の写真や動画がネットで流れてくると無条件に泣いてしまう。
ちょっとウルウルするとかではなく、声を出してわんわん泣いてしまう。
もう2度と叶うわけがない、エンゼルスでワールドチャンピオンになるという映画みたいなマンガみたいな話しは叶わない。
でも、今とこれからのエンゼルスが大谷なしで叶える可能性がないわけじゃない。
今期も、99敗というフランチャイズワーストを更新したはしたけど、本当に面白い試合が多かった。
1点差でギリギリ負けた試合、逆転で勝った試合、延長戦、あのギリギリ負けた面白かった試合たちで勝てるようになっていたら何勝増えるのか。
少なくとも大量失点してボロ負けというのはそんなに何度も見ていない(あるはあるんだけど)

大谷はエンゼルスが相手だとあんまり打てなくなるのが、ちょっと切ない。
今年ムーアさんから特大HRを打ってるけどそれぐらいじゃないかな。
そういうのも段々慣れてきて段々ガンガン打たれるのかもしれないし、ピッチャーとして抑えられるのかもしれないけど。

元々ピッチャー大谷の方が私は好きなので、来期ピッチャー登板するときはドジャースの試合も観ようかなと思う。私も段々リハビリかな。

しかも元々ドジャースは好きで、ベッツファンだったんだけど、最近はフリーマンに心をつかまれ過ぎている。誰とでも仲良く話しているのをフリーマンこそ見かけるし、性格良さそうが過ぎる。
足を引きずったままポストシーズンに出てグランドスラム含むホームランを打ちまくってるの、泣かずに観れないさ。
だから、ドジャースは人が好きなのに、運営が悪の帝国過ぎるから眉間にしわが寄る。

なんか、全部書いて思ったけど、私大谷好き過ぎるな笑
恐らく移籍の事とワールドシリーズの事に絞って書いたから本当はもっと書こうと思えば書けるわけだけど、これぐらいにします。
もしうっかり全文読んだ人がいたらびっくりするけど、読んでくれたなら嬉しいです。
こういう人もいるんだな、と思ってやってください。

Masaco