※このレビューにはネタバレが含まれます。また、マンガとの比較が入ります。
2020年5月29日、金曜ロードショーにてキングダムの実写化第一作目が放送された。
大好きで映画館に3度観に行った本作だが、実写化は失敗すると言われやすい昨今の邦画作品の中で、何故これほどまでにヒットし評価を得たのか、第二作目の発表もあり盛り上がったこのタイミングで私も個人的に考えてみようと思う。
ふざけないでレビューします!
Contents
キングダムの基本情報
原題 | キングダム |
公開/製作国 | 2019年4月19日/日本 |
上映時間/映画区分 | 134分/G |
監督 | 佐藤信介 |
脚本 | 黒岩勉 佐藤信介 原泰久(原作者) |
出演者 | 山﨑賢人 吉沢亮 長澤まさみ 橋本環奈 |
キングダムのあらすじ
紀元前245年、中華西方の国・秦。戦災で親を失くした少年・信(山崎賢人)と漂(吉沢亮)は、大将軍になる夢を抱きながら剣術の特訓に明け暮れていた。やがて漂は王宮へと召し上げられるが、王の弟・成キョウ(本郷奏多)が仕掛けたクーデターによる戦いで致命傷を負う。息を引き取る寸前の漂から渡された地図を頼りにある小屋へと向かった信は、そこで王座を追われた漂とうり二つの王・エイ政(吉沢亮)と対面。漂が彼の身代わりとなって殺されたのを知った信は、その後エイ政と共に王座を奪還するために戦うことになる。
引用…シネマトゥデイ
キングダムの感想
大好きなマンガ、キングダムが実写化すると聞いて『まじか、やめとけ』と思った。
これは単純にここ最近のマンガ実写化が成功した例が極端に少ないからだ。
マンガとして57巻時点で6700万部売り上げている大作なので、必ず最低限の数字は獲れるだろうが、大ファンとしては観たい様で観たくない、という複雑な心境だった。
加えて、映画化する内容が『王弟反乱』の部分だと聞いて、より一層、観るのを迷った。
映画化するならキングダムの冒頭の話しは絶対必要なので、それを考えると王弟反乱以外の選択肢は無いのだが、“あれより面白い話し山ほどあるのに!”というのが正直な所感だった。
だがしかし、この後『人の感情を動かす短縮法』という部分できちんと書くが、王弟反乱をここまでしっかり描いておいたのは、結果的に素晴らしい事であったと思う。
キングダムの配役について
これはストーリー以上に個人の主観が絡んでくる部分だと思うが、最初に信や王騎の配役を聞いた時には『またケントか…』と思ったのも否めなかった。
そしてそれが=不安に拍車をかけたわけだが、成蟜や政、昌文君の配役を見た時に『ありかもしれない…』と思うようになり、予告編で映画の一部分を見た時には期待が不安を上回っていた。
王騎ももっと濃い顔が欲しいという希望はあれど、よくもあそこまで体を作って寄せようと努力したな、と大沢たかおに驚かされたし、信も、良く考えたら『じゃあ、他に誰が?』と言われるとそれ程適役が思い浮かばないのも事実だった。
山崎賢人さん、演技も上手ですしね。
そして、圧倒的に素晴らしいと思ったのは、漂と政を演じた吉沢亮だ。
同じ顔なのに完全に別人だった。
目が違う。声も違う。あれは凄い。
マンガの中でも政はイケメンという事になっているので、見た目としても申し分なかったと思う。
キングダム、マンガと映画の違い
概ねマンガに沿って映画は作られていたが、細かい部分が変わっていたり、もちろん2時間で収めるために削っている部分もある。
だが今回は、この『マンガと違う部分』というのがいかに上手に変えられていたかが映画がヒットした要因だと思っている。
大きく変わっていた箇所で一番素晴らしいと思ったのは、成蟜に行きつくまでの戦いで、敵である左慈とランカイの順番を逆にした事だ。
マンガではラスボスがランカイで、左慈は道の途中で戦う相手だが、映画では左慈が最初に登場するものの、そのまま奥に引っ込んでしまうので、結局最後に戦う相手が左慈になる。
これは、映画として描く時に、ランカイの意味不明な得体の知れない強さを表現するのがラスボスとして描くには難しかったであろう点と、左慈であれば会話が出来る点が考慮されたのではないかと推測している。
そしてその結果、信は『将』にも自分と漂の理想と一致しない将がいるという事を知り、自分と漂が夢見た将はそういうものではない、と打ち消す戦い方が出来ている。
言葉を話せる相手って、大事。
キングダムが成功した、人の感情を動かす短縮法
一番今回書きたかったのはここなのだが、マンガで王弟反乱は5巻の途中までで描かれる。これを2時間強にしないといけないのであれば、当然どこを削るか、という話しになると思う。
そして、個人的にはマンガ実写化が成功するか否かを分岐する多くの要因のうち、かなりの重要度を占めているのがこの『どこを削るか』であると思っている。
少し別の話しになるが、人の感情を動かすためには必ず『リード部分(導入)』が必要になる。
例えば『マラソン大会で主人公が優勝する話し』を描いた時
①一生懸命主人公が走り、頑張り、やっとの事でゴールテープを切り、優勝した事に感動して泣きながらインタビューを受けている内容
②マラソン大会で優勝する事を目標にして頑張っていた主人公の親友が事故で亡くなってしまい、その無念を晴らすためにマラソンを始めた主人公が、途中ライバルからのいじめやコーチとの確執、両親からの応援などを経て、やっとマラソン大会に出席した結果優勝する話し。
どちらが感動するかは言うまでもない。
全く同じ『マラソン大会で主人公が優勝する話し』を描いたものでも、リードがどれだけしっかり描かれているかで人は感動するかどうかが変わってくる。
説明が長くなったが、映画キングダムはこれがめちゃくちゃ上手に出来ていた。
削って時間を短くしているのにこれが出来ているのは、製作者が間違いなく『人々がどこで感情を動かすか』理解して作っていたからだと信じたい。
特に、冒頭の幼い信が漂と出会って、年齢を重ね、そこから王宮の事件に巻き込まれていく部分は、わずか15分前後で描かれている。
のに、時間経過の描写や重要なセリフ、間、を削っていないので、これが映画終盤までしっかり影響してくれる。(元々マンガでもたった1話で描かれた短い部分ではあるが)
また、山の王のシーンも非常に上手にカットしている。
なので、山の王と政がどうして心を通わせたのか、という重要な部分がしっかり伝わる。
王弟反乱を描いたことが結果的に良かった、と序盤に書いたのは、今後長く続く可能性がある実写化キングダムの映画という目で見た時には、ここをしっかり描くことはキングダムの全体像の素晴らしいリードとなるからだ。
そんなわけで、これまで実写化でショックを受けた映画の多くが、この『重要なリード部分をカットしていた』という事と比較すると、キングダムという映画は秀逸なのである。
映画キングダムの今後について
正式に二作目の製作発表がされましたね!
噂では信の初陣が描かれるとの事ですので、恐らく蛇甘平原の話しになるのかな?と予測しています!
馬陽まで描くという事は無いと思いますが、そうなると三作目、四作目、への期待が膨らみますね。
そして話題が持ち切りなのが、先日のキングダム総選挙でも、私の予想した1位『王騎』を上回る投票数で1位を獲得した、羌瘣を誰が演じるか、という事です。※…キングダム総選挙は終了しています。
過去にアメトーークのキングダム芸人で、ビジュアルとしては完璧な羌瘣を小島瑠璃子さんが見せてしまっているので、ハードルは高い…。
個人的な希望は清野菜名さんなのですが、皆さんはいかがでしょうか?
続報をワクワクしながら待ちたいと思います。
キングダムのBD/DVD販売とネット配信
ネット配信も開始しているので、金曜ロードショーで見逃してしまった方も是非!
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※配信状況は変わる可能性があります。