※映画レビューにネタバレは含ませないつもりですが、登場人物の人間性に言及しているので多少ストーリーが分かってしまうかもしれません。うーん、やっぱりちょっとネタバレしてるかも。
まず、とにもかくにも髭×山崎賢人は最高だ。
こんなに変わるものか、と思う程最高だ。
という理由ぐらいしか観るきっかけが掴めなかったわたくしに、観る機会を与えてくれたのはやっぱりインスタをフォローしている皆さんのレビュー達だった。
そもそも又吉直樹原作というのもあまり分かっておらず、それを知って『又吉さん恋愛なんて書けるのか…さすがだ…。』と思った程。
私が興味を持ったのは、主人公2人の恋模様がわたくにとって大変興味深い研究対象だったからだ(笑)
劇場の基本情報
邦題 | 劇場 |
公開/製作国 | 2020年7月17日/日本 |
上映時間/映画区分 | 136分/G |
監督 | 行定勲 |
脚本 | 蓬莱竜太 |
出演者 | 山﨑賢人 松岡茉優 寛一郎 伊藤沙莉 上川周作 大友律 井口理 (King Gnu) 三浦誠己 浅香航大 |
劇場のあらすじ
友人と立ち上げた劇団で脚本家兼演出家を務める永田(山崎賢人)は、上演ごとに酷評され客足も伸びず、理想と現実のはざまで葛藤していた。彼はある日、自分と同じスニーカーを履いていた沙希(松岡茉優)に思わず声をかける。戸惑いながらも永田を放っておけない沙希は一緒に喫茶店に入る。そして付き合うことになった二人は、沙希の部屋で一緒に暮らし始める。
引用…シネマトゥデイ
劇場の感想
クズ男と呼ばれてしまう様な男性には、それ相応の理由がある事が多いのを知ってしまっているわたくしとしては、事前の皆さんのレビューを読んだ結果、実際にこの映画を観始めて比較的冒頭で、『あぁ、やはりここで山崎賢人はクズ男と呼ばれてしまう男を演じる事になるのね。』と妙な親心を出してしまった。
何故ならば、向き合う事が出来ない人間には必ず要因があるからだ。
自分の人生と向き合わない、自分の感情と向き合わない、自分を愛してくれる人に向き合わない、自分の全てに向き合わない。
向き合える人は強い人だ。
自分の弱さを知り、自分の感情に気づき、愛してくれる人がいつまでも自分を愛してくれる事を信じ、自分が人生にどう立ち向かっていけば良いか分かっている。
向き合う事が出来ない人に、足りないものはなにか?
それは、自信だ。
弱さを知っても自分がどんな人間なのかを受け入れる自信、愛する人を信じる自信、自分は何をしても良い、何を選んでも良いと思える自信。
主人公の永田は、一体どの段階でこの“自信”をこうもごっそり失ってしまったのだろうか?
やはり乳幼児期の愛着なのか、それとも成長期にトラウマになる様な事件が起きたのか?
家族に愛されて育ち、自分の意思を尊重してくれる両親に恵まれ、順風満帆で健やかな成長期を送っていたのにこういう人間は出来上がらない。
あと、かなりほんのりだけど、永田からはなんらかのグレーな障害なのかな?と思う言動もいくつか感じ取れる。
永田は、沙希の事をとても愛しているのに、沙希がずっと自分の傍にいてくれるかどうかの自信が無い。
自信がないから誤魔化すし、そこから逃げるような事もたくさんする。
だけど、沙希がいなくなるのは困る。
天邪鬼な言動を取り、自ら離れていく。
なのに、戻ってくる。
近づいて、離れて、近づいて、離れる。
又吉さんが、どの程度人間のコミュニケーションや恋愛関係の問題に詳しいのか分からないが、よくもこう、一貫して一定の人格を描くことが出来たなと驚いた。
これを書くに当たって勉強したのか、それとも読書家の彼は充分知っている事だったのか?
沙希が最終的に陥る状態は、いわゆる“カサンドラ症候群”というものだ。
カサンドラ症候群とは、ギリシャ神話に出てくるカサンドラというトロイ王の娘が、娘の美しさに魅せられたアポローン神から“未来を予知するチカラ”を与えられ、しかし、カサンドラがアポローンを全く相手にしなかったために、アポローンから“誰にも予言を信じてもらえない”という呪いをかけられてしまう。
そんなカサンドラの悲劇が基になっている、精神的症状の名称だ。
どんなことかというと、つまり恋人関係や夫婦関係において、パートナーと情緒的な相互関係が築けない状態、またそれを周囲の人に理解してもらえない状態を指す。
と、ここまでを又吉さんが分かっていて書いてたら更に凄いな、と。
※カサンドラ症候群の原因は発達障害だけではないと言われています。
本来は、沙希の様な人間が近くにいたら永田の何も信じることが出来ないあの言動がもう少し治っても良いんだけど、と考えるのは映画を観る人間として野暮か(笑)
実は、わたくしの愛する人は永田と良く似ている。
なんて書くと大変大きな誤解を招きそうだが、心理構造が良く似ている。
なので、最後の沙希のセリフが痛いほどよくわかるし、あのセリフが出てくる沙希は永田を良く理解していると思うし、やっぱりそうなると又吉さんが(略)
ラスト、どうとでも続きを想像出来る様に終わらせてくれたのが、わたくしとしては救いだ。
劇場のBD/DVD販売とネット配信
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